グローワームの成虫の姿

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多摩動物公園ニュース

 多摩動物公園で飼育しているグローワームは、オーストラリアとニュージーランドに生息するヒカリキノコバエの幼虫です。展示のメインは光る幼虫であり、成虫になった姿をご覧いただく機会はほとんどありません。

 ヒカリキノコバエは 完全変態 かんぜんへんたいの昆虫で、卵→幼虫→ さなぎ→成虫と成長します。幼虫期間は9か月前後であるのに対し、成虫のおおよその寿命はオスが2~4週間、メスが3~5日間と短く、この期間にオスとメスを交尾させ、次世代の卵を産ませています。

成虫が交尾しているようす(左がメス)


 メスは蛹の時点で腹部に卵を持っており、羽化後、すぐに交尾をできる体制を整えています。タイミングよくオスとメスがそろえば交尾を開始し、交尾時間は半日以上におよぶ場合もあります。メスは産卵後、ほどなく寿命を終えます。成虫の口は退化しており、えさや水分を取ることはありません。

メスの蛹の近くで羽化を待つオス。蛹の内部に黄色い卵が見える


 成虫の体長は、10~12mm前後です。オスは、メスに比べて触角が長く、腹部が細いのが特徴です。メスは幼虫時代に十分なえさを食べていると、体が大きくなり腹部の卵も100卵以上と多くなる傾向があります。ペアリングに適した成虫を羽化させるには、幼虫を丁寧に育てることが重要なのです。

 今年で飼育開始から36年目を迎えるグローワームをこれからも大切に飼育し、次世代につないでいきたいと思います。

成虫のオス(右)とメス(左)


※グローワーム展示を含む昆虫園本館は、空調工事のため2023年2月5日まで閉館中です。
※工事終了後、グローワームの展示は当面のあいだ、平日のみ9時30分~15時30分となります。

〔多摩動物公園教育普及課昆虫園飼育展示係 吉川〕

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