オールウェルカム!だれもが楽しめる芸術文化の世界へ
東京は多種多様なアートやカルチャーに触れ合うことができる都市。そんな芸術文化を、年齢や障害の有無、言語に関係なくだれもが楽しめるようにと、さまざまな方法でサポートする動きが広まっています。今回は、都内の美術館、博物館、劇場公演などで行われているアクセシビリティ向上の取り組みを紹介します。
例えば視覚障害者向けの、触って鑑賞する絵画。素材に布や糸を使ったり、くっきりと立体感のある印刷を使ったり、見える人も一緒に楽しめるように原画に近い色を着けたりと、それぞれ作品の雰囲気に合わせて工夫をしています。ときには作者本人と一緒にどんな質感がいいか話し合い、作品の魅力を伝えるために試行錯誤しています。
触ってわかる案内図は、点字印刷と重ねて大きな文字とコントラストの強い配色で描かれていて、見える人にも見えづらい人にも読みやすくなっています。
また、建物の触察模型では、形だけではなく、床や壁には木材、庭には芝生などを使い、手で触れて素材の質感を感じられるようになっています。
日本語を勉強中の外国人等に向けた「やさしい日本語」のパンフレットも、各館の個性を生かしたデザインで作られています。
劇場などでは万が一災害等が起こったのときのために、やさしい日本語で書かれた誘導旗の用意もしています。
こちらは発達障害(神経発達症)の方をはじめ、美術館を初めて訪問する方や利用に不安を感じる方などに向けた冊子「Social Story はじめて 美術館に いきます。」(東京都美術館)。「わたし」を主語に、WEBサイトで予習をするところから始まり、駅からの行き方、チケット購入、コインロッカーの使い方や観賞時に気を付けることなど、写真とやさしい日本語で丁寧に書かれています。
また、民間でも積極的にアクセシビリティ対応の芸術体験を推進していています。
エイベックス・ライヴ・クリエイティヴ主催の舞台では、聴覚障害者向けに手話通訳や字幕ガイド付きのアプリサービス、視覚障害者向けには、上演前にセットに触れてその大きさや配置を確認したうえでの鑑賞や、イヤホンガイドでの詳細説明など、特別な日を設けて上演をしました。
また、森美術館のラーニングプログラムでは、障害のある方もない方も一緒にアートを通じて知見を深める、会場に足を運べない人でもアートを楽しめるようにオンラインで展示の様子を届けるなど、さまざまな取り組みをしています。
この秋は、東京2025世界陸上、東京2025デフリンピックが開催されるとともに、さまざまな人が東京を訪れます。現在、芸術文化を中心に、だれもが楽しめる東京を目指す「オールウェルカムTOKYO」キャンペーンを実施中。鑑賞サポート付き公演・展覧会等は下記のサイトで紹介しています。