【多摩動物公園】中高生向けトークイベント「サイエンズーカフェ──話そう!聞こう!動物園の仕事」を実施しました

東京ズーネット

2025年3月9日、多摩動物公園で中高生を対象としたキャリア教育をテーマとするトークイベント「サイエンズーカフェ──話そう!聞こう!動物園の仕事」募集記事はこちら)を開催しました。事後アンケートでは参加者から高い満足度が示され、非常に意義深い取組みとなりましたので紹介します。

多摩動物公園では、2008年度から飼育係など職員が講師を務める「サイエンズーカフェ」を開催してきました。2019年度からは対象を中高生としましたが、コロナ禍の影響で一時中断。その後、2021年度からオンライン形式で再開し、今回は園内で職員と直接話ができる本来の形式での開催が実現しました。

サイエンズーカフェのようす
サイエンズーカフェのようす

イベントは、職員によるお話と質疑応答の二部構成でおこないました。

前半では、「動物園の仕事」「飼育係の一日」「獣医の一日」のお話をし、その後、異なる業務を担当する4名の職員が自己紹介をおこないました。それぞれが「いつ・なぜ動物園で働こうと思ったのか」「現在の仕事内容」などについて話したほか、事前アンケートで寄せられた質問をもとに一問一答形式で回答しました。「中高生のとき、夢中になっていたこと」「進路を決めるきっかけ」「動物園以外で考えた職業」など職員の中高生時代の経験や思いを共有することで、参加者に親しみやすい内容となりました。

後半では、グループに分かれて質疑応答を実施しました。「今勉強すべきことは?」「どんな思いで働いているのか?」「動物となかよくなるために心がけていることは?」など、多岐にわたる質問が寄せられました。職員たちが日々の仕事に込める思いを直接伝える貴重な機会となりました。

質疑応答のようす
質疑応答のようす

いただいた質問の一つをご紹介します。それは「やりがい」です。私は、「生きている動物を観察し新しい発見に気づくこと、そしてそれを来園者と共有できること」と答えることが多いですが、改めて中高生に聞かれ、言葉に詰まってしまいました。

短期的なやりがいとしては、それは確かですが、動物園の本来の目的は、「動物への興味を引き出し、さらには動物を守りたいという保全の意識を高めてもらうこと」です。その成果というのはすぐに目に見えるものではありません。その面ではやりがいを感じにくい仕事のようにも思います。

今回、「飼育係をしていたときは、動物の誕生はもちろんうれしいし、それはやりがいの一つかもしれない。でも本当のやりがいはその動物が大きくなって、移動先の動物園で子どもが誕生したとき、上手に子育てをしていることを知ったときはよりやりがいに感じる」「今日のイベントもたくさんの人に参加してもらい満足度が高ければやりがいではあるけれど、本当のやりがいは参加者が今後進路に悩んだときに今日のことを少しでも思い出してくれたときだと思う。ただそれを知ることができないのが残念」と回答をしました。サイエンズーカフェで、自分自身も考えさせられました。

事後アンケートには、「動物とふれあうことが主な仕事だと思っていたが、さまざまな仕事があってもっと深く知りたくなった」「ふだん関わることのできない方々の話を聞けて質問もできて自分の進路について考えるきっかけになった」「ネットなど信用していいのかわからない情報ではなく実際に働いている人から話が聞けた」などの感想が寄せられました。

今回のイベントが、参加者の進路選択や将来のキャリア形成に少しでも役立ったなら幸いです。今後も、多摩動物公園ではこのような取組みを通じて、動物園の仕事やその魅力を発信していきたいと考えています。

〔多摩動物公園教育普及係 友岡〕

関連ワード
カテゴリ
タグ