南大沢キャンパス 91年館 学芸員養成課程展示室編

東京都立大学
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普段、あまり見る機会のない大学構内の施設で、「これはどう使われているの?」という素朴な疑問を解き明かします。今回は南大沢キャンパスに注目。学生が博物館実習を行っている、91年館 学芸員養成課程展示室を探検しました。

キービジュアル

今回、ご登場いただく先生は...

板久 梓織先生

大学教育センター 特任助教(学芸員養成課程担当)
板久 梓織先生


社会人類学専門。東京外国語大学で日本語を専攻後、中国で日本語教師として勤務。その後、ケニアでのフィールドワークを行い、石彫彫刻を作る人々の生活やお土産アートについて研究している。

塚本 将 先生

大学教育センター 特任助教(学芸員養成課程担当) 博士(理学)
塚本 将 先生


東京都立大学理学研究科生命科学専攻動物系統分類学研究室の江口克之先生のもとで学位を取得。ムカデ研究の専門家で、日本や海外でムカデを採集し、新種の発見や進化の歴史の解明に取り組んでいる。

Q.「91年館」とはどのような施設ですか?

1991年に都立大が目黒から南大沢へキャンパス移転した際に周辺住民とをつなぐ施設として建てられました。2012年の博物館法の改正にともない資格取得に必須になった学内実習の環境確保のために、授業・実習用の施設として整備され学芸員養成における実践的教育のための施設として開設されました。

91年館

91年館

Q.「学芸員」とは何ですか?「学芸員養成課程」とは?

学芸員は、博物館、美術館、動物園、水族館などで働く専門職です。資料の収集・保管・展示、調査研究などを担います。学芸員養成課程では、学芸員資格取得のための科目を毎年開講しています。都立大の学芸員養成課程の特徴は、専攻を問わず受講できる点にあります。学芸員の仕事は必ずしも自分の専門分野だけを扱うわけではないため、様々な分野の学生が学んでいます。

Q.どのようなカリキュラムで学ぶのですか?

4年間をかけて、段階的に学んでいきます。
•1〜2年次:博物館概論や資料展示方法など、必要な科目・単位を履修
•3年次:博物館実習1(7分野の教員によるリレー形式の授業)
•4年次:博物館実習2(学生が自ら選んだ博物館・美術館10日間の実習)
受講者数は毎年40名程度です。1年次向けガイダンスには70〜80人が参加しますので、関心の高さがうかがえます。

Q.どのような授業を行っていますか?

専門知識は各学部・学科の授業で学べるため、本課程では実物に触れて学べる実技・実習をメインに行います。歴史では巻物の巻き方や掛け軸の掛け方、美術では展示した作品への光の当て方、動物系統分類学では土壌生物の分類など、分野ごとの実技を行っています。
また博物館見学も実施し、そこで働く現役の学芸員から直接話を聞いたり、収蔵庫を見学したりする機会もあります。

作業治療学実習室

授業の風景

Q.専門外の分野も学ぶ意義は何ですか?

学芸員として働く際、必ずしも自分の専門分野だけを扱うとは限りません。転勤や配置転換により、専門と異なる分野の展示を担当したり、広報業務を任されたりすることもあります。様々な分野の展示や資料の扱い方を経験しておくことで、将来どんな場面に遭遇しても柔軟に対応できる力が身に付きます。

Q.展示で特に気をつけていることは何ですか?

特に社会人類学の分野では、展示における倫理的配慮が重要です。ある民族の伝統的な道具だけを展示すると、どこか遠い世界の話のような印象を与えてしまうかもしれません。しかし実際には、彼らも私たちと同じ「今」を生きる同時代の人たちであり、古くからの道具とスマートフォンが日常の中で併存しています。 文化的価値を尊重しつつ、その背景や現在の姿を正確に伝えるためには、丁寧なパネル説明が欠かせません。

展示室の見どころを公開!

展示室は7つのエリアに分かれており、それぞれの分野の研究成果を公開しています。

日本史学

日本史学イメージ

本学に所蔵される水野家文書の中から、徳川4代将軍である徳川家綱による御内書や、朱印船貿易に関わる朱印状の複製を作成し、解説をつけて展示。歴史史料を具体的に学べます。

考古学

考古学イメージ

縄文時代から現代までの土器や石器を展示。山田昌久特任教授が制作に関わり、NHKでも紹介された丸木舟の実物が入口に展示され、丸木舟の制作の様子を動画で紹介しています。

社会人類学

社会人類学イメージ

東南アジアの民族衣装と織物、東アフリカの生活用具、東アジアで使用されるようになったイスラーム服などを展示。世界各地の多様な人々の生活を身近に感じられます。

動物系統分類学

動物系統分類学イメージ

私たちの身近な昆虫「アリ」について、家族・住まい・食べ物の観点から、その生態に迫ります。国内外のアリの標本を顕微鏡で実際に観察することもできます。

植物系統分類学

植物系統分類学イメージ

南大沢キャンパスの中で、私たちの身近に生きる植物たちに目を向けた展示です。植物標本や映像紹介を通して、何気なく見ている植物の奥深さや面白さを紹介します。

地形・地質学

地形・地質学イメージ

東京の地形・地質を物語る岩石や化石、鉱物のコレクションを展示。地層から読み取れる多摩や立川断層の変遷を、実物を通して学ぶことができます。

芸術学

芸術学イメージ

「地域社会における現代アートの可能性」をテーマに、身近なものがどうアートになり得るかを探求。作品の展示手法や、社会の関わりについて考える機会を提供します。

展示室は学生・教員だけでなく、地域のみなさまにも親しんでいただけるよう、一般公開しています(授業期間中の月〜金 11:00〜17:00)。
学校教育やクラブ活動などにもご利用いただけます。団体での見学・学習利用をご希望の際は、事前にお問い合わせください。

最後に、学生の皆さんにメッセージをお願いします!

板久先生より

板久先生より
学芸員は、研究成果を一般の方に伝える重要な仕事です。展示方法によって、研究の伝わり方も大きく変わります。多様性を柔軟に受け止め、来館者が豊かな体験をできるよう支援する学芸員を目指してください。

塚本先生より

塚本先生より
自分の「好き」を大切にしてください。私の場合はムカデでしたが、その情熱が研究につながりました。博物館は様々な分野の魅力を伝える場です。学芸員は、あなたの「好き」を多くの人と共有できる仕事です。

総合HP教員紹介ページ/
大学教育センター 特任助教(学芸員養成課程担当) 板久 梓織 先生(いたく しおり)
大学教育センター 特任助教(学芸員養成課程担当) 博士(理学) 塚本 将 先生(つかもと しょう)

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