【多摩動物公園】 チンパンジーと植物──食べるだけじゃない、植物の利用方法
植物が豊富なアフリカの森をすみかとするチンパンジーは、植物をえさとしてだけではなく道具としても利用します。ただ、「植物」と一括りに言っても、樹木や草本、さらに細かく見ると葉や樹皮、種子、果実など多種多様です。
多摩動物公園では、飼育開始初期から飼育係がいろいろな植物を園内で採取し、チンパンジーたちに与えてきました。緑豊かな園内を改めて見渡すと、1年を通して数多くの植物が若葉、花、果実や種子、塊根といったかたちで自生しています。自然豊かな立地のなかで季節とともに移り変わる植物を利用して、チンパンジーたちの日々の生活に変化を与え、採食時間増加や日々における刺激を増やしてきました。
私たちはこの取り組みを一層進めるため、利用可能な植物の種類や採取場所、時期を調べることで与える植物のバリエーションを増やすことにしました。
とはいえ、植物には毒があるものも多くあります。過去のチンパンジー担当者や園内で植物にくわしい職員から情報収集をし、人が食べられるものを基準に給餌できる植物を調べました。今年はそうした取り組みにより、与えられるものが20種類ほど増加しました。
給餌したものに対する個体の反応は千差万別です。躊躇なく食べる個体もいれば、先に食べている個体の周りに円陣になり、顔を寄せ合い興味深げに見る個体もいます。

顔を寄せ合い興味深げに見るようす
また、クリの実を毬からどうやって取り出すのか時間をかけて試行錯誤する個体、キクイモの根茎の皮を歯を使ってきれいに剝いて食べる個体もいます。

キクイモの根茎の皮を歯で剝いて食べるチンパンジー
えさ以外の利用としては、枝を円状に集めて寝台として活用したり、展示場内に常設された人工アリ塚に使う道具にしたり、花を給餌した際は、匂いを嗅ぐ姿も見られました。
そして、春の時期は展示場内に植物が芽を出します。職員が採取し与えた植物を食べ終わったあと、それが刺激となるのか、自ら植物を摘み始める姿も見られました。

場内の植物を摘んで食べるチンパンジー
季節ごとにいろいろな植物を与えることが日々の刺激となり、行動の増加や変化を促すことができました。植物給餌は食べる楽しさに繋がる「採食エンリッチメント」として評価できるだけでなく、好奇心から個体間の関わりが生じるなどの社会的行動や、採食方法を考えるといった認知的行動を引き出し、においを嗅いで感覚的に楽しむなど「環境エンリッチメント」の5つの要素(社会・認知・物理・感覚・採食)も満たしていることから、動物福祉の向上に繋がるのではないかと考えられます。
今後も継続して園内の利用できる植物を調べ、給餌をおこなうことで、チンパンジーの日々がより豊かになるように努めていきます。
〔多摩動物公園北園飼育展示係 南中〕
(2025年12月26日)
多摩動物公園では、飼育開始初期から飼育係がいろいろな植物を園内で採取し、チンパンジーたちに与えてきました。緑豊かな園内を改めて見渡すと、1年を通して数多くの植物が若葉、花、果実や種子、塊根といったかたちで自生しています。自然豊かな立地のなかで季節とともに移り変わる植物を利用して、チンパンジーたちの日々の生活に変化を与え、採食時間増加や日々における刺激を増やしてきました。
私たちはこの取り組みを一層進めるため、利用可能な植物の種類や採取場所、時期を調べることで与える植物のバリエーションを増やすことにしました。
とはいえ、植物には毒があるものも多くあります。過去のチンパンジー担当者や園内で植物にくわしい職員から情報収集をし、人が食べられるものを基準に給餌できる植物を調べました。今年はそうした取り組みにより、与えられるものが20種類ほど増加しました。
給餌したものに対する個体の反応は千差万別です。躊躇なく食べる個体もいれば、先に食べている個体の周りに円陣になり、顔を寄せ合い興味深げに見る個体もいます。

顔を寄せ合い興味深げに見るようす
また、クリの実を毬からどうやって取り出すのか時間をかけて試行錯誤する個体、キクイモの根茎の皮を歯を使ってきれいに剝いて食べる個体もいます。

キクイモの根茎の皮を歯で剝いて食べるチンパンジー
えさ以外の利用としては、枝を円状に集めて寝台として活用したり、展示場内に常設された人工アリ塚に使う道具にしたり、花を給餌した際は、匂いを嗅ぐ姿も見られました。
そして、春の時期は展示場内に植物が芽を出します。職員が採取し与えた植物を食べ終わったあと、それが刺激となるのか、自ら植物を摘み始める姿も見られました。

場内の植物を摘んで食べるチンパンジー
季節ごとにいろいろな植物を与えることが日々の刺激となり、行動の増加や変化を促すことができました。植物給餌は食べる楽しさに繋がる「採食エンリッチメント」として評価できるだけでなく、好奇心から個体間の関わりが生じるなどの社会的行動や、採食方法を考えるといった認知的行動を引き出し、においを嗅いで感覚的に楽しむなど「環境エンリッチメント」の5つの要素(社会・認知・物理・感覚・採食)も満たしていることから、動物福祉の向上に繋がるのではないかと考えられます。
今後も継続して園内の利用できる植物を調べ、給餌をおこなうことで、チンパンジーの日々がより豊かになるように努めていきます。
〔多摩動物公園北園飼育展示係 南中〕
(2025年12月26日)
