世界陸上のトラックで、こどもたちが1000分の1マラソンに挑戦
「東京2025世界陸上」の会期中、国立競技場で「見て、学んで、走りだせ!世界陸上リアル教室」が開催されました。これは、4日間で約3000人のこどもたちが、陸上のレッスンを受けて、アスリートたちと同じ競技場内のトラックを走るという特別な体験です。
9月17日(水曜日)に参加したのは、大田区立中萩中小学校5年生の約50名。トラックを走る前に、世界陸上の日本代表経験者などのアスリートたちが先生となり、室内練習場でレッスンが行われました。
まずは、低いハードルを使ったジャンプの練習。先生がお手本を見せると「高ーい!速ーい!」と歓声が上がり、その後全員でチャレンジしました。
つぎは、走り方のポイントのレッスン。ももを高く上げながら腕を大きく振るなどのコツを教わりながら、練習場のコースを何本も走りました。
体も温まったところで、いよいよ国立競技場のトラックへ。42.195メートルを走る「1000分の1マラソン」に挑戦です。男子フルマラソンの世界記録は2時間0分35秒(7235秒)、1000分の1にすると7.235秒になります。このタイムを目指して、みんな元気にトラックを駆け抜けました。
続いて、中萩中小の児童が見守る中、特別プログラム「走れ!OriHime(オリヒメ)(分身ロボット)」が開催されました。こちらは、障害のあるこどもたちが、福祉・医療施設から遠隔操作をして、国立競技場トラックにいる分身ロボットOriHimeを走らせるというもの。
七生福祉園、国立精神・神経医療研究センター病院内 東京都立小平特別支援学校 武蔵分教室、SLPセンターアーク児童発達支援センターマイム、東京小児療育病院の4つの施設から6つのチームが参戦。
七生福祉園から遠隔操作
小平特別支援学校 武蔵分教室から遠隔操作
ハードルをくぐり、バトンの間を通って、自分たちが作った旗の前で手を上げるリアクション、そしてゴールへと向かう10メートルのコースを遠隔操作します。
熱戦が繰り広げられ、1位でゴールしたのは「七生福祉園」のOriHime。
こどもたちは熱心に応援し、最後のOriHimeがゴールするまで声援を送っていました。
イベントを終えて、こどもたちは
「もも上げや腕を大きく動かすことなどを教えてもらって、とても貴重な体験でした。いつもよりスムーズに走れて、運動会でも活かせると思いました」
「OriHimeは、画面越しでもがんばっているのが伝わりました。こういうのが実用化できたら、みんな参加できていいなと思いました」と話していました。
翌日には、小池知事やワールドアスレティックスのセバスチャン・コー会長らが「世界陸上リアル教室」を視察しました。そして、世界陸上にこどもが参画する取り組みに対して、ワールドアスレティックスから、東京都・世界陸上財団・日本陸連に表彰状が贈られました。
コー会長は、
「世界陸上の目的のひとつは、長く続くレガシーを残すことにあります。今回こどもたちが経験できる機会、また将来の夢を描くチャンスを与えてくださり感謝いたします」と言葉を述べました。
それを受けて、小池知事は、
「こどもたちが学んで喜んでいる姿を会長と一緒に見て、まさにこの世界陸上は、こどもたちに夢を届ける大会になっていることを実感しました。こどもたちがスポーツを通じて勇気をもらい、希望を抱く、素晴らしい機会になったことを誇りに思います」と話していました。