【多摩動物公園】遊具で遊ぶインコたち
現在、多摩動物公園ではルリコンゴウインコを1羽、ベニコンゴウインコを6羽飼育しています。今回はベニコンゴウインコの「イロハ」(オス、5歳)と「ニホ」(メス、2歳)の2羽の状況をご紹介します。
この2羽は若い個体で、外の環境に慣れていないため、放飼場にはまだ出ることができません。同室でくらしており、ふだんはなかよくしているのですが、若く元気があるので暇ができるとお互いをつつき合って遊びだし、ヒートアップして相手の羽を抜いてしまうことや、傷ができてしまうことがありました。
その対策として、えさを与える回数を増やしたり、止まり木のいろいろなところにえさを付けたりと、食べることに時間をかけて1日をすごせるようにくふうをしてきました。えさを探す時間が長くなることで、最近はうまくすごせるようになってきています。
インコはクルミの殻を割って食べてしまうほどくちばしが強力で、止まり木もかじり切って壊してしまいます。そこで、かじったり壊したりして遊べるものがあればくちばしの伸びすぎを減らすことやストレス軽減にもつながり、お互いのつつき合いもさらに減らすことができるのではないかと考え、遊具を作り始めました。
まず「遊ぶもの」とすぐに認識してもらえるように、ふだん止まり木として使っているシラカシの木の枝を小さく切り、ロープと組み合わせたもので遊具を作ってみました。そして、興味を引くために、ロープのあいだに好物の落花生を入れられる空間を設けました。
設置した直後は、警戒して2羽とも近づこうとしませんでしたが、落花生を挟むとすぐに寄ってきて食べてくれました。そこから遊具が破壊されるまではあっという間で、翌朝には木のパーツが2〜3個砕かれて床に落ちていました。さらに次の日にはロープが根本から噛み切られてすべて落下していました。
落花生を取り出す「ニホ」
数日かけて作ったものが、ものの2日で壊されてしまいましたが、それほど夢中に遊んでくれたことにとてもうれしく思いました。
この最初の取組みから、木だけではなくロープも遊具として使ってもらえることがわかったので、2つ目の遊具作成に取りかかりました。
次に作ったのはロープを編み込んだボールです。中には鈴を入れて音が鳴るようにしてあります。さっそくこれをケージに取り付けてみると、好奇心旺盛なニホがすぐにつつきだしました。前回の経験を生かし、根本に強度をもたせて編み込んでいたのですぐに壊されることはありませんでしたが、中に入れた鈴は1日で取り出されていました。この鈴が気に入ったようで、落花生を見せても鈴を離さず持っていました。
遊具を取り付け始めてから、2羽での取り合いはありますがうまくすごせており、ロープにぶら下がって遊んでいる姿も見せてくれます。

ロープの遊具に興味深々な「ニホ」
今後も動物の性質に合わせた取組みを継続していきます。
現在、鳥インフルエンザ感染防止のために放飼場を改修中です。イロハとニホは放飼場に出る練習中なのでみなさんの前にお披露目できるのはまだ先かもしれませんが、元気なインコをご覧いただけるまでもうしばらくお待ちください。
〔多摩動物公園南園飼育展示第2係 岩崎〕
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