旅先で出会った温もりを胸に、介護の世界へ―人を支えながら歩んで23年【ふくむすび】
佐々木 敬秀さん
浴風会第三南陽園(サービス課長)
旅先での何気ない出会いが、人生の大きな転機になることがあります。旅行業界で2年間働いた後、海外での生活に憧れニュージーランドへ渡った佐々木さん。現地のホームステイ先で出会った人々との時間が、「人の役に立つ仕事をしたい」という想いを生み、介護の道を歩むきっかけとなりました。
それから23年。今は特別養護老人ホームで現場を支えながら人材育成にも力を注いでいます。「介護の仕事に出会えて本当に良かった」と笑顔で語るその姿から、福祉の仕事の魅力が静かに伝わってきます。
(取材:2025年10月)取材撮影のため、マスクを外しています。
海外での出会いが導いた介護の道
「一度海外で暮らしてみたい」という思いを実現するために旅行業界を辞め、ニュージーランドへ渡った佐々木さん。ワーキングホリデー制度を活用し、語学学校に通いながら現地での生活を始めました。ホームステイ先では、重い糖尿病を抱えるおじいさんと、家事を一手に担う笑顔の優しいイタリア人のおばあさんに出会い、まるで孫のようにかわいがってもらったといいます。ところが帰国前、おばあさんが両手を骨折し、おじいさんの世話もままならない状況に。「掃除でも料理でもできることは手伝わせてください」と自ら申し出て、約2か月間、一緒に暮らしながら介護や家事をして二人を支えました。「あなたがいなかったらどうなっていたか分からない」と家族から深く感謝されたことが忘れられず、日本でも高齢化が進み、同じように支援が必要な人がいることを思い出した佐々木さん。帰国後、介護の道へ進む決意を固めました。
学びから始めた新しいスタート
帰国後は、介護の仕事をしっかり学びたいと思い専門学校に入学し、介護福祉士の資格を取得しました。実習を通じて介護の現場に触れるなかで、「人の生活を支える」ことのやりがいを実感したといいます。卒業のタイミングで、浴風会に新設される特別養護老人ホーム・第三南陽園の求人票が届きました。実習で訪れた際に感じた温かな雰囲気が印象に残っており、就職を決意したそうです。
「家から近くて通いやすいこともありましたが、法人内にさまざまな施設があるので幅広い経験が積めると思いました。福利厚生や給与面がしっかりしていたのも安心でしたね」
ご利用者の“したいこと”を叶えるために
介護士として入職後、サブリーダー、フロアリーダーを経て、現在はサービス課長として現場を支えています。ケアワーカーとして日々の介護に携わりながら、人材育成や採用、地域貢献などにも取り組んでいます。
「現場の課題を解決するためにチームで動くことも多く、職員同士で意見を言い合える風通しのいい職場です。年間休日も多く、残業も少ないので、ワークライフバランスは取れていると思います」
やりがいを感じる瞬間は、ご利用者やご家族から直接感謝の言葉をもらったとき。
「ご利用者の“本当にしたいこと”を叶えられたときの笑顔を見ると、この仕事を選んで良かったと心から思います」
“介護は大変”というイメージの先に
転職してからは、シフト制の生活にもすぐに慣れ、平日の休みを活かして自分の時間を充実させられるようになったと言います。
「24時間365日のサービス提供が必要な職場ですが 、その分、人が休みではない平日にお休みが多いので、かえって自分の時間を有効活用できるようになりました。家族とゆっくり出かけたり、平日のすいている時間帯に買い物や用事を済ませたりと、以前よりも余裕を持って生活できています」
そして何よりも、日々の中で成長を実感することが多いと語ります。
「課題に直面したとき、以前より広い視点で考え、判断できるようになりました。ご利用者に“佐々木さんがいてよかった”と言われたときは、努力してきて本当によかったと感じました」
周囲から信頼される穏やかなリーダー
一緒に働く職員たちは口をそろえて「佐々木さんはとにかく相談しやすく、穏やか。全てのフロアがうまく回っているのは佐々木さんが状況を把握しているから。」と話します。誰に対しても平等で、「浴風会でいちばん穏やかな人」と評されることも。
リーダーとして、職員が安心して働ける環境を整え、いつでも気軽に相談できる雰囲気を作っています。
「浴風会の理念を大切に、職員一人ひとりが自分らしく働ける職場づくりを意識しています」と佐々木さん。
ご利用者様だけでなく、共に働く仲間の思いにも寄り添う姿勢が、多くの信頼を集めています。
迷っているなら、一歩踏み出してみて
最後に、福祉業界を目指す人へのメッセージを伺いました。
「介護の仕事は大変というイメージが強いですが、実際にやってみると楽しいことがたくさんあります。人の役に立っているという実感があるし、休みも取りやすく、思っているより働きやすいですよ」
「もし迷っているなら、ぜひ一度体験してみてください。ご利用者の表情や職員の様子を見ることで、きっとこの仕事の温かさを感じてもらえると思います」