住宅政策本部では、住宅市場の透明性の向上や不動産取引の適正化とともに、消費者の利益保護を推進するための取組を行っています。その一環として、都に寄せられた不動産取引に関する相談及び都が宅地建物取引業法(以下「宅建業法」という。)に基づき宅地建物取引業者(以下「宅建業者」という。)に行った指導等の概要を公表しています。
この度、令和6年度の相談や指導等の概要をとりまとめましたので、公表いたします。
1 消費者相談
- 相談窓口における受付件数は、過去5年間、毎年2万件前後で推移している。令和2年度以降、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況が続く中にあって、「電話による相談」の割合が増加していたが、令和5年度に行動制限が解除され、当課の相談窓口が新型コロナウイルス感染症の感染拡大前の運用に戻ったことから、「面談による相談」の件数が増加しつつあり、「電話による相談」の割合は2年連続で減少した。
- 相談の多くを占める「電話による相談」では、過去5年間を通じて、売買では「契約前相談【注】」や「契約解除」に関する相談が多く、賃貸借では「敷金(原状回復)」や「重要事項説明・契約内容」に関する相談が多くを占めている。
【注】「契約前相談」とは、取引をする上での一般的な注意事項などを事前予防的な相談のことを指す。
- 都内の賃貸住宅家賃の上昇傾向がある中、借主が契約期間中や契約更新時等に貸主又は管理会社から賃料の値上げが通知されるケースが増えており、当課への相談件数も令和5年度比約2倍の1,366件と増加傾向にある。
(1)消費者からの相談件数
※数字は、電話による相談件数と窓口と面談による相談件数の合計である。
(2)消費者からの相談内容
「面談による相談」における主な相談内容(令和6年度)
| 順位 |
売買に関する相談(全102件) |
| 1 |
重要事項説明 |
33件 |
| 2 |
契約内容 |
15件 |
| 3 |
契約の解除 |
14件 |
| 順位 |
賃貸借に関する相談(全355件) |
| 1 |
重要事項説明・契約内容 |
114件 |
| 2 |
敷金(原状回復) |
86件 |
| 3 |
契約更新 |
47件 |
「電話による相談」における主な相談内容(令和6年度)
| 順位 |
売買に関する相談(全3,452件) |
| 1 |
契約内容 |
738件 |
| 2 |
契約前相談 |
551件 |
| 3 |
契約の解除 |
312件 |
| 順位 |
賃貸借に関する相談(全16,206件) |
| 1 |
敷金(原状回復) |
3,323件 |
| 2 |
重要事項説明・契約内容 |
2,704件 |
| 3 |
管理(設備の瑕疵等) |
2,300件 |
賃料値上げに関する相談について
都民の方から、賃貸住宅の賃料値上げに関する相談が増えています。
- 貸主からの正当な理由がない大幅な賃料値上げの通知や要求には、簡単に応じないように注意してください。
- 賃料値上げを一度、同意してしまうと、後日、この同意を取り消すことは難しくなります。
- 値上げの通知等があった場合には、貸主に対し、賃料値上げの理由等の説明を求めることや、当課の相談窓口(令和7年10月10日より、賃料値上げ特別相談窓口を開設しました。)等で交渉方法等のアドバイスを受けることが重要です。
詳細や窓口の連絡先については、ホームページに記載されておりますので、ご参照ください。
2 宅建業者に対する指導監督等
- 宅建業者の適正な業務運営と公正な取引の確保を図るため、消費者への注意喚起などの啓発とともに、宅建業者に対する適切な指導監督に取り組んだ。
(1)令和6年度の行政処分及び指導等の状況
| 行政処分及び指導等の区分(全39件) |
| 免許取消 |
17件 |
| 業務停止 |
2件 |
| 指示処分 |
2件 |
| 指導勧告 |
18件 |
(2)不動産取引に関して宅建業者に行った主な処分事例(令和6年度)
- 2件の売買契約において媒介業務を行った際、いずれも売買契約が成立したにもかかわらず売主に対して、宅建業法第37条第1項に定める書面(売買契約書)を交付しなかった。→業務停止30日間
- 媒介依頼者と専任媒介契約を締結したにもかかわらず、契約の目的物である宅地及び建物について、指定流通機構(レインズ)に登録しなかった。→指示処分
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