【東京都立大学】英語で『専門』を学ぶ

東京都立大学
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2027年4月、東京都立大学 都市環境学部に新たなプログラムが誕生する。
T-GLIPs(TMU Global Leaders for Innovation Programs)
——その名が示すとおり、グローバルな課題に挑むイノベーターを育てるための英語学位プログラムだ。
地理環境学科、都市基盤環境学科、環境応用化学科、観光科学科の4学科で同時にスタートするこの取り組みは、英語を学ぶ授業ではない。
「学部の専門教育科目をそのまま英語で学べる」ことが、最大の特徴である。
このプログラムの意義とねらいについて、都市基盤環境学科の横山勝英教授と観光科学科の沼田真也教授に話を聞いた。

キービジュアル
 
都市環境学部 観光科学科 沼田 真也(ぬまた しんや)教授
沼田 真也(ぬまた しんや)教授

東京都立大学大学院博士号(理学)取得。専門は植物生態学・熱帯生物学・自然ツーリズム。東南アジア熱帯雨林の保全、野生生物観光、都市生態系を研究。IUCN委員、八王子市環境審議会会長なども務める。

 

都市環境学部 都市基盤環境学科 横山 勝英(よこやま かつひで)教授
横山 勝英(よこやま かつひで)教授

東京工業大学大学院博士号(工学)取得。国土交通省土木研究所河川研究室等を経て、2005年より都立大に着任、2017年より現職。専門は水工学・環境水理学。河口域・ダム貯水池を対象に、現地観測・数値シミュレーションを組み合わせた水域環境の研究を行う。

 

「英語を学ぶ」のではなく、「英語で専門を学ぶ」

まず、T-GLIPsはどのような取り組みでしょうか。

沼田先生
沼田先生
今まで日本の大学では、日本語で授業を提供して学ぶというのが一般的でした。そのため、英語で授業するというと「英語の勉強も兼ねて」というイメージを持たれがちですが、そうではありません。都立大が培ってきた専門教育を、英語による授業を通じて国内外の学生に提供する、それがT-GLIPsです。

英語を教えるのではなく、英語で専門分野を教えるということが軸なのですね。

横山先生
横山先生
そのとおりです。最近、他の大学でも英語学位プログラムが増えつつありますが、各学科から科目を持ち寄った教養学部のような、ジェネラリストを育てるプログラムが多く見られます。私たちはそうではなく、サイエンス・エンジニアリング分野の専門教育プログラムをまるごと英語でも提供する。スペシャリストを育てるプログラムです。このスタンスがT-GLIPsの最大の特徴だと思っています。
沼田先生
沼田先生
したがって、T-GLIPsにおいては英語力を高めることは目的ではありません。英語はすでに使いこなせることが入学の前提条件です。学術的な英語力——TOEFLやIELTSのスコア、SATなどの国際試験——をきちんと備えた学生が、都立大の高度な専門教育を英語で受けていく。それがこのプログラムです。
 

大学院から学部へ
——15年の国際化の蓄積

都市環境学部がT-GLIPsの先陣を切る理由はどこにあるのでしょうか。

横山先生
横山先生
都市環境学部は、2010年頃から博士後期課程の留学生を多数受け入れ、英語での研究指導を積み重ねてきました。ただ、博士後期課程は教授と学生のマンツーマンが中心になるので、日本人学生への波及効果が限定的でした。そこで次に、博士前期課程でも受け入れるようにしたところ、授業でのディスカッションや学生同士の交流が活発になりました。さらに学部生をインターンシップで受け入れると、一緒に食事に行ったり遊びに行ったりする中で、輪がどんどん広がっていったのです。そういう実感を積み重ねてきました。
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沼田先生
沼田先生
私たちはT-GLIPsのためにこうした取り組みを進めてきたわけではありません。これまでも国際化を着実に進めてきており、その積み重ねがT-GLIPsにつながっています。あるタイミングで、学部での英語による教育を提供する構想が持ち上がり、私たちが進めてきた取り組みとも合致しました。既に大学院の博士後期・前期課程では英語による授業が行われているので、その実績に基づいて学部でも展開することになりました。
 

英語で専門を学ぶことには、語学力の向上以外にどのような意義があるのでしょうか。

沼田先生
沼田先生
英語で説明するとわかりやすいのに、日本語だとわかりにくい概念や用語があります。そういう意味で、学びのブレークスルーのきっかけが生まれます。もう一つは、異文化・異なる価値観との交流です。自分たちが当たり前だと思っていた価値観が、実はそんなに普遍的ではないと気づくこと、それは大きな学びです。
横山先生
横山先生
理工系の学術英語では、事実から示唆されることを示す際に、これが60%の確信なのか95%の確信なのかで言い方を変える——そういった表現が、日本語よりも英語の方がやりやすいと考えています。論文執筆、研究発表、ディスカッション。そういう場での表現力が自然と身に付いていきます。

留学生と日本人学生のシナジー
——本当のねらいは「日本社会のボトムアップ」

プログラムの受益者は留学生だけではない、とのことですね。

横山先生
横山先生
公立大学として、留学生を受け入れることが日本人にどう還元されるかは常に意識しています。留学生を育てて母国や社会に送り出すだけでなく、日本人の学生と触れ合うことで、日本の学生の意識が変わる。そこに本当のねらいがあります。
沼田先生
沼田先生
私の研究室でも、「英語は苦手だし、就職は公務員かな」と言っていた3年次の学生が、留学生と触れ合うことで触発され、「やっぱり留学してみよう」と意識が変わった事例があります。留学して帰ってきたら今度は「世界的に活躍できる仕事が面白そう」と言い出しました。そういう意識の変化が起きるのです。

留学生、日本人学生、それぞれにメリットがありそうですね。

横山先生
横山先生
日本や日本文化に興味があるけど、日本語の壁のために大学入学まで至らなかった学生が世界中にいます。彼らが英語で学べるとわかれば来てくれる。一方、日本には、英語は得意だけれど欧米留学の高額費用がネックになっている学生がいます。彼らにとっては、東京にいながら、欧米と同等の専門教育が英語で受けられる。南大沢キャンパスは駅のすぐそばにありますから、まさに「駅前留学」です。
沼田先生
沼田先生
都立大には充実した留学支援プログラムがあります。T-GLIPsで国際的な意識が芽生えた学生が、そのまま学内の制度を使ってすぐに動ける。T-GLIPsは既存の留学プログラムをより活かすためのトリガーにもなるはずです。
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「英語でつまずいている場合じゃない」
——求められる専門性の高さ

どのような学生を求めているのでしょうか。

横山先生
横山先生
英語はあくまで前提条件にすぎません。一般入試で課している専門科目、例えば都市基盤環境学科では数学・物理ですが、それらについても高いレベルが求められます。実際、通常の日本語の授業でさえも、必修科目の単位を取るために学生は必死です。だからこそ、英語・日本語を問わず専門分野を極める意欲のある学生に来てほしいと考えています。
沼田先生
沼田先生
私が理想とするのは、何かを手に入れるために来る学生です。受け身で学ぶのではなく、野望を持った学生に来てほしいと思っています。国を背負っているという意識。日本で学ぶことへの覚悟。そして日本社会を楽しんで、その良さを家族や母国の仲間に伝えていくという意識。少数精鋭だからこそ、一人ひとりの存在感と波及効果を大切にしたいのです。
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先生方ご自身は留学経験がないと伺いました。

横山先生
横山先生
よく学生には驚かれます。しかし、サイエンスやエンジニアリングの世界において、言葉はあくまでツールです。大切なのは英語のうまさそのものではなく、世界最先端の研究内容をしっかり伝えられることです。私自身、専門分野の話であれば英語でも不自由なく話せますが、政治や経済の話はほとんどできません。学生からは「先生の英語は適当だけど、内容がすごい」と言ってもらっています。
沼田先生
沼田先生
文法が間違っていても、面白いことや、学術的に興味深いことを言えば注目してもらえる。完璧な英語である必要はありません。これから求められる真の国際人とは、とにかく伝えようとする姿勢と専門知識の掛け合わせだと思っています。

卒業後の活躍
——架け橋となる人材へ

T-GLIPsで学んだ学生たちに、どのような活躍を期待していますか。

横山先生
横山先生
母国に帰って活躍する、日本社会で活躍する、国際機関に進む——いろいろな道があるでしょう。私としては、まず日本で5年、10年と経験を積んでから、その経験を国際社会や母国に持ち帰って活かしてほしいと思っています。課題は、日本企業が英語人材の受け入れに消極的なことですが、それが解消されれば、日本全体にも良い影響が出てくると考えています。
沼田先生
沼田先生
日本の教育を受けて、外国のことも知っている——そういう架け橋的な人材になってもらえると期待しています。専門家として、同級生のネットワークを通じて、困った時に連絡が取れる仲間が世界中にいる。そういう人材が増えていくことが、日本全体の力になっていくはずです。いろいろな夢や目標を持って来てほしいですし、諦めずに追いかけ続けてほしいと思っています。

各学科の特徴

地理環境学科

地理環境学科は、自然環境と人間社会の相互作用を総合的に探究する教育・研究を行っています。地形・地質学、気候学、環境地理学、地理情報学、都市・人文地理学の5つの研究分野を基盤に、フィールドワーク、実験・実習、GISなどの実践的教育を通して研究手法を身に付けます。少人数教育のもとで教員の丁寧な指導を受けながら、自ら研究課題を設定し、卒業研究に取り組むことで、社会課題の解決に貢献できる人材を育成しています。

都市基盤環境学科

都市基盤環境学科は都市及び国土が直面する課題として、人口減少・高齢化を見据えた活力ある社会基盤の再構築、都市インフラの老朽化に備えた効率的な維持管理、都市環境の維持・保全・創造、気候変動対応を含めた自然災害に対する防災に主眼を置いています。そして、既成の概念にとらわれず総合的かつ国際的な視野を有し、主体的な判断、行動能力を有し、創造的な力を発揮できるグローバルスペシャリストを教育・育成します。

環境応用化学科

環境応用化学科は、多様な化学分野をベースに、実用につながる工学としての「応用化学」に関する教育と研究を行っています。特に、SDGsに関連する教育と研究を通じて、環境、エネルギー、バイオなどの幅広い分野において、化学技術を駆使して持続可能な社会に貢献する分子や材料を創造することができる知識や能力を持った研究者、化学者を育成します。4年次の卒業研究では、1人で1つのオリジナルの応用化学(ものづくり)に関する研究テーマに挑みます。

観光科学科

観光科学科では、工学や理学といった理系分野をベースに、「観光を科学する」ことを目標としています。観光の基盤となる地域の環境や文化の保全や資源の適正利用を進め、観光を活用して地域の魅力や価値の向上、地域経済の向上といった地域づくりを進めるための教育、研究を目指しています。そのため、自然環境マネジメント、地域計画・マネジメント、行動・経営科学の3領域で「観光を科学」することに取り組んでいます。

T-GLIPsの入試概要、その他詳細情報はこちら
https://www.ues.tmu.ac.jp/en/t-glips.html

総合HP教員紹介ページ/
都市環境学部 観光科学科 沼田 真也(ぬまた しんや)教授
都市環境学部 都市基盤環境学科 横山 勝英(よこやま かつひで)教授

 
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