第154号 台東区 下谷警察署わんわんパトロール隊【東京都防犯ネットワーク】

歴史ある寺院や昔ながらの街並みが残る台東区谷中地区。谷中銀座商店街をはじめ、多くの観光客が訪れるこの街では、人と人とのつながりを大切にする文化が今も息づいています。
そんな谷中で誕生したのが、令和6年10月18日に発足した「下谷警察署わんわんパトロール隊」。天王寺駐在所を中心に交流を深めていた地域住民が、「いつもの犬の散歩を地域の見守りにつなげよう」と活動をスタートしました。
発足当初は谷中地区で41名・51頭から始まった活動も、この取り組みをきっかけに周辺地区にも活動の輪が広がり、現在では下谷警察署わんわんパトロール隊全体で100名を超える隊員が活動しています。
隊員たちは、それぞれの生活リズムや愛犬のコンディションに合わせて散歩をしながら地域を見守り、異変や気になることがあれば状況に応じて警察へ情報提供を行っています。また、合同パトロールや地域イベント、行政イベントにも積極的に参加し、地域住民や街を訪れる人との交流を通じて、防犯意識の啓発と地域ぐるみの見守り活動に取り組んでいます。
国内外から谷中を訪れる人々の目にも触れるこの活動は、地域ぐるみの見守り活動として少しずつ親しまれています。
愛犬との散歩が、地域とのつながりを深めます
谷中地区で活動する隊長の倉田昌佳さんは、町会活動にも積極的に参加し、地域とのつながりを大切にしてきました。わんわんパトロール隊の発足をきっかけに、町会活動と愛犬家の輪が自然につながり、新たなコミュニティが生まれていると感じています。
活動を続ける中で、愛犬との散歩は「歩くこと」だけでなく、街を見守る時間へと変わりました。道路のごみや落書き、放置自転車など、それまで気に留めなかった街の小さな変化にも自然と目が向くようになり、「普段から地域を気に掛ける意識が身に付きました」と話します。町会と愛犬家を結ぶ架け橋として、今日も愛犬との散歩を通じて活動の輪が広がっています。
「犬がいることで自然と会話が生まれ、顔見知りも増えていきます。そうした何気ない交流が、安心して暮らせるまちづくりにつながっていると思います。」
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「見せる防犯」が、地域に安心を届けます
副隊長の高柳良一さんは、わんわんパトロールの魅力を「普段の散歩が、そのまま地域の安心につながること」だと話します。活動を始めてから、ベストや犬のリードに取り付けた防犯グッズを見た地域の方から、「何をしている活動なんですか?」と声を掛けられる機会が増えました。活動を説明すると感謝や応援の言葉をいただくことも多く、活動を知ってもらうこと自体が防犯につながると実感しています。
谷中は国内外から多くの観光客が訪れる街です。隊員が愛犬と歩く姿に興味を持った外国人観光客から、活動について尋ねられたり、一緒に写真を撮りたいと声を掛けられたりすることもあります。こうしたやり取りを通じて、地域ぐるみの見守り活動に興味を持っていただけるきっかけになっていると感じています。
「特別なパトロールではなく、普段の散歩だからこそ無理なく続けられます。その姿を見てもらうこと自体が、防犯につながっていると思います。」
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愛犬と一緒だから、地域との交流がもっと楽しく
入柿秀俊さんは、愛犬・ポメラニアンのメリーとの散歩をきっかけに、わんわんパトロールへ参加しました。活動に加わる前は、地域の人とあいさつを交わす程度でしたが、今では隊員同士はもちろん、近所の方や街を歩く人とも自然に会話を楽しめるようになったといいます。
愛犬同士の微笑ましいやり取りをきっかけに、自然と住民同士の会話も広がります。パトロールというと少し堅い印象がありますが、愛犬と一緒に散歩を楽しみながら地域とつながれることが、この活動の大きな魅力です。
「犬を飼っている方なら、特別なことをする必要はありません。いつもの散歩が、そのまま地域の見守りにつながります。」
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飼い主としての意識が、地域への思いやりを育みます
愛犬・アドラーとティガーとともに活動する岡本太司さんは、わんわんパトロールへの参加を通じて、「犬を飼う責任」について改めて考えるようになったと話します。
「地域の中で活動する以上、まず大切なのは飼い主としてマナーを守ること。」そう話す岡本さんは、散歩中のあいさつや排せつ物の処理、リードの扱いなど、一つひとつの行動が地域の信頼につながっていくと考えています。
隊員同士の交流を通じて、地域や犬に関する情報を共有する機会も増えました。日頃の散歩で気付いたことを気軽に話し合えることも、この活動ならではの魅力だといいます。
「地域の方から感謝の声を掛けていただけると、本当にうれしいですね。犬を通じて信頼関係が生まれ、それが安心して暮らせるまちづくりにつながっていると感じます。」
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地域の力を信じて、ともに見守る
下谷警察署天王寺駐在所に勤務する後藤警部補は、長年にわたり谷中地区を見守り続けてきました。日頃から地域住民や町会との信頼関係を築く中で、愛犬家たちは散歩の待ち合わせ場所として、自然と駐在所横の広場に集まるようになり、後藤さんと言葉を交わす光景が日常になっていました。そんな交流を重ねる中で、「いつもの散歩を見守りにつなげてみませんか」と提案したことが、「下谷警察署わんわんパトロール隊」の誕生につながりました。
後藤さんは、警察のパトロールだけでは目が届きにくい場所があるからこそ、地域の力が欠かせないと話します。その違いを、後藤さんは「丸と四角」に例えます。
「警察のパトロールが丸だとすれば、地域住民の皆さんの見守りは四角。丸では届きにくい四隅まで、地域の皆さんだからこそ見守ることができます。その力が集まることで、地域全体の防犯力が高まり、犯罪が起きにくい環境をつくることができます。」
発足後も、合同パトロールや散歩の待ち合わせでは、駐在所周辺が自然と集合場所になっています。日頃から後藤さんと顔を合わせていることもあり、犬たちもすっかり顔なじみ。中には制服姿を見ると後藤さんだと思って、うれしそうに駆け寄っていく犬もいるそうです。こうした日頃の交流を積み重ねながら、活動の輪は谷中地区を越えて広がり、今では多くの住民が日常の中で地域を見守っています。
「活動がここまで広がったのは、地域の皆さんが賛同し、一緒に取り組んでくださったおかげです。本当に感謝しています。これからも地域の皆さんと力を合わせ、安全で安心して暮らせる街を育てていきたいですね。」
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活動を支える防犯グッズ

リードに取り付ける緑色の防犯プレートやサコッシュ、犬の「落とし物」を入れるビニール袋用のケースなど、隊員には下谷警察署や台東区などからさまざまなグッズが提供されています。隊員であることが一目で分かるため、「見せる防犯」にも効果的。グッズに憧れて入隊する人も多いそうです。
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これからも、地域とともに

毎日の散歩やあいさつ、地域に目を向けるちょっとした心遣いも、大切な見守り活動の一つです。「いつもの散歩」が地域を見守る活動へとつながる――。
下谷警察署わんわんパトロール隊の取組は、地域に安心を届け、人と人とのつながりを育みながら、安全安心なまちづくりの輪をこれからも広げていきます。