「思春期発症のADHD」では薬物治療の副作用リスクが高い可能性 発症時期に応じた慎重な治療判断が求められる

(公財)東京都医学総合研究所, 保健医療局
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東京都医学総合研究所社会健康医学研究センター 山口智史(やまぐちさとし)主任研究員・中島直美(なかじまなおみ)研究員・西田淳志(にしだあつし)センター長、エディンバラ大学 Ian Kelleher 教授らの研究グループは、思春期以降にあらわれるADHD(思春期発症のADHD)では、薬物治療によって精神病症状などの副作用が生じるリスクが高まる可能性があることを指摘しました。治療の際には症状の出現時期を丁寧に確認し、特に成人のADHD患者に対しては薬物治療を慎重に検討する必要があると訴えています。
本研究成果は、国際医学雑誌「Lancet Psychiatry」に日本時間2026年1月7日8時30分(英国時間:1月6日23時30分)にオンライン掲載されます。報道解禁は日本時間2026年1月7日8時30分(英国時間:1月6日23時30分)です。Embargoの遵守をお願い致します。

原著論文情報

論文名

Psychostimulants and psychosis risk in varied ADHD trajectories(ADHD症状の多様な発達軌跡における精神刺激薬と精神病リスクとの関係)

著者

Satoshi Yamaguchi, Ian Kelleher, Naomi Nakajima, Atsushi Nishida

掲載誌

Lancet Psychiatry
ホームページ(外部サイトへリンク)

DOI

10.1016/S2215-0366(25)00390-6

背景

ADHD(注意欠陥・多動症)は、集中しづらい、落ち着きがない、といった症状を持つ発達の状態です。従来は、ADHDは主に子どもに見られ、成長とともに症状が軽くなると考えられてきました。
しかし近年、思春期や大人になってから初めて症状があらわれる「思春期発症のADHD」が存在することが明らかとなり、国際的に注目が高まっています。この「思春期発症のADHD」は小児期に症状が出現する従来のADHDとは異なる性質を持つ可能性が指摘されています。
ADHDの治療では、思春期発症か小児期発症かに関わらず、薬が広く使われていますが、副作用として幻覚や妄想などの精神病症状が報告されています。薬の処方が増加している現在、どのような人に副作用が出やすいのかを明確にすることが重要な課題となっています。

成果

今回のまとめでは、特に「思春期発症のADHD」における薬の副作用に焦点を当て、最新の研究結果を整理しました。

近年の大規模な遺伝研究により、

  • 「思春期発症のADHD」は、子どもの頃にあらわれるADHDよりも精神病を発症しやすい遺伝的な傾向を持つことが示されています。

また、複数の最新研究を総合すると、

  • 薬物治療によって精神病リスクが高まる可能性は主に「思春期発症のADHD」で認められる
  • 一方、子どもの頃にあらわれるADHDでは、このような関連は明確に確認されていないことが明らかになってきました。

これらの知見から、ADHDの薬物治療による精神病リスクは「思春期発症のADHD」で特に高くなる可能性があります。

社会的意義

これまで十分に検討されてこなかった「思春期発症のADHD」に着目し、国際的な研究に基づいて薬物治療の副作用リスクを整理したことには、大きな意義があります。
本成果は、今後のADHD治療ガイドラインをより安全で効果的なものへ改善するための重要な基盤となりえます。今後は、「思春期発症のADHD」に対する薬物治療の副作用をさらに厳密に検討し、エビデンスに基づいた治療ガイドライン改訂へとつなげていくことが求められています。

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