夏のスポーツは知識と準備で安全に 熱中症の応急処置を体験
年々暑くなる夏、スポーツをする際の熱中症対策も大きな課題となっています。そこで7月12日(土曜日)、東京都環境公社において「スポーツ現場における熱中症対策と安全な環境づくり」をテーマに、環境学習講座が開催されました。
講師を務めたのは、NPO法人スポーツセーフティジャパンの一原克裕さん。部活動からプロスポーツ、生涯スポーツまで、スポーツ現場の安全管理体制を作るために広く活動をしています。
第1部では、安全にスポーツをするための基礎知識を学びました。まず前提として、本人の体調を考慮すること。睡眠不足や空腹など、体調不良の時に無理にスポーツをしない・させないことも大事です。
運動をすると体温が上がるため、日常動作よりも熱中症のリスクが高くなります。汗をかいて体温を下げられるように、スポーツ前・中・後のこまめな水分補給が熱中症予防の第一歩になります。
また、暑さ指数(WBGT)が28を超えると、熱中症にかかる人が多くなるといわれています。運動を行う予定の日時や場所の暑さ指数を、事前にWEBサイトなどで確認することで、実施するかどうかの判断や、熱中症予防・対策の参考になります。
そしていざ、熱中症が疑われる症状が出たとき、周囲が応急処置などを実践できるかということも大切です。そこで、第2部では、「熱疲労/熱射病への対応方法について」を実践的に学ぶ体験講習が行われました。
運動中、意識はあるけれど、ふらふらしていて熱中症が疑われるという想定で、参加者が応急処置を実践しました。本人が楽になれる姿勢で、首すじやわきの下、腿の付け根など、動脈が流れる部位に氷を置いていきます。
さらに、濡らしたタオルを全身にかぶせて体を冷やします。また、足を高くして血流を心臓に戻すことも大切です。
さらに重症の場合は、救急車を呼んで搬送する間の応急処置がとても重要です。講座では、プロスポーツの現場でも使用するアイスバス(プール)を用意して、男性を運ぶ練習をしました。意識のない人を移動させるのは、大人5人がかりでも大変なこと。
ここではとにかく体の温度を下げることが第一。応急処置としては、氷水を入れたプールに全身を浸けるアイスバスが効果的と言われています。プールのほか、水や氷を現場に用意しておくことも大事なことの一つになります。
「熱中症は予防できる」と言われていますが、それは知識と準備があってこそ。安全にスポーツを実施するためには、体調、暑さ指数(WBGT)、環境などを確認して、スポーツをする本人はもちろん、指導者や運営側などによる周囲の体制づくりが大切だと学びました。