【多摩動物公園】ゴールデンターキンの体重測定──その後

東京ズーネット

 昨年の2024年5月にご紹介した多摩動物公園のゴールデンターキンの「オウテン」(オス、15歳)の体重測定の記事から1年が経過しました。季節の変化とともに、体調や食欲に波がありましたが、このあいだも定期的に測定を続け、オウテンの体調や体重の推移を記録してきました。

 昨年の夏場には暑さの影響か採食量が落ち、一時は体重が201kg(オスの平均的な体重は250~350kg)にまで減少しました。何とか食べるものを見つけるために、ふすまやおから、野菜やビートパルプ(テンサイから砂糖を抽出したあとの残りかす)などさまざまな食材を試しました。あわせて飼料の配合もくふうしながら試行錯誤を続けた結果、少しずつオウテンに合った内容が見つかり、採食量も回復していきました。

 現在は、ふすまをベースに切り乾草(細かく切った乾草)やビートパルプ、ペレットやカットアルファ(カットした牧草アルファルファ。キューブ状に圧縮してある)を水で練ったものを与えています。オウテンは、ふすまの割合が多い配合を好むため、切り乾草を増やしすぎると食べなくなることもあります。ふすまとほかの飼料の配合を調整しながら、切り乾草の割合を少しずつ増やせるようにくふうしています。その結果、2025年5月現在では、体重は266kgにまで回復しました。
 


上段左からふすま、ビートパルプ、切り乾草
下段左からペレット、カットアルファ、全部の飼料を混ぜ合わせたもの

 体重が減少していた当時と現在の写真を見比べてみると、痩せていたころは、肋骨や脊椎が隆起し、全体的に骨ばった印象でした。現在は少しずつ肉付きがよくなり、やや痩せ気味ながらも体つきに変化が見られ、健康的な体格に近づいています。
 
2024年9月のオウテン
2025年5月のオウテン


 また、1月におこなった動物病院係の診察では、オウテンには歯の不調と足の骨に変形が見られることがわかりました。歯の状態については、これまで同様、今後もえさを細かくし水でふやかすなど、歯の状態を考慮した給餌を続けていきます。そして新たな課題として、今以上に足に過度な負担がかからないよう、歩き方や足への体重のかけ方など状態に注意しつつ、適切な体重と体型の維持に取り組んでいく必要があります。

 体重測定を始めたことで、定期的な変化を数字で確認できるようになり、どの対応が効果的だったのか、改善の経過を正確に判断できるようになりました。今後も目視と体重の2点から健康状態を把握し、個体にあわせた飼育管理に努めます。

〔多摩動物公園南園飼育展示第1係 矢川〕

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