大学研究者が事業を提案する仕組み=大学提案!事業化された方へインタビューしました。(R7 #3)
こんにちは!
「大学研究者の知と想いを、都政に反映!」大学提案担当です。
大学提案のインタビュー企画、R7年度第3回をお送りします。
ご登場いただくのは、東京大学の村上 進亮(むらかみ しんすけ)教授です。
提案の内容について
村上教授からは、
「ソフトシステムを通じた都市型サーキュラーエコノミーモデルの社会実装」をご提案頂きました。
この事業は、環境に配慮した製品及びサービスの普及拡大を目指し、循環経済に資する活動についての客観的な評価指標等の設定等を実施する事業です。
村上教授のこれまでの研究、事業の今後の展望など、たくさんお話を伺いました!

鉱業からサーキュラーエコノミーへ
―まずは、先生の研究内容について教えてください。
村上 教授:
元々の研究は、循環ではなく、鉱業、資源の種類としては石油ガスなどの液体ではない、鉱物などの固体に関することをしていました。
ただ、国内では鉱物を掘る場所が減ってきたこともあり、純粋な工学よりもマネジメントの話へ、その中で市場を考えるとリサイクルも、という話が出てきてと研究の風呂敷が資源全体の使い方へと徐々に広がっていたところです。
―今回、事業を東京都へ提案しようと思われた理由を教えてください。
村上 教授:
1つ目は、サーキュラーエコノミー、特に消費者に近いビジネスモデルの検討は、そもそも消費の多い、人が多くいるところでやるべき話であり、東京が最適であること。
2つ目としては、民間のみではなかなか進まないなか、「では行政で」と言えば国とオールジャパンでやるという考えもあるが、東京都でまず実施するのがサイズ感としては非常に丁度良いと思ったところから提案しました。
どう消費者にわかりやすく伝えるか
―今回のご提案は生産する企業側、消費する消費者側両方に焦点があります
が、その中で企業の取組の現状はいかがでしょうか。
村上 教授:
戸惑っているというのが実態でないかと思います。
一部の製造業は、例えば「リサイクル率を上げることが、脱炭素に直結する」と言い切れるならば、それはわかりやすいこともあり、リサイクルには取り組みやすい。
しかしサブスクなどのCEコマースなどと呼ばれるビジネスは、やったから必ず脱炭素につながるのか?それとも他の環境問題解決になるのかというところが企業にはまだわからない。そのため企業として、何に取り組めば良いのかわからないのが現状だと思います。
―今回解決手段に、生産者側、消費者側の双方にわかりやすい評価指標を作
るとされているのはなぜでしょうか。
村上 教授:
評価指標は、企業にとっては内部管理向けのKPI(重要業績評価指標)にもなるし、企業がお客様に環境への効果をわかりやすく見せるコミュニケーションツールでもあります。その意味で、きちんとした正しい評価指標があって、それが脱炭素につながることをいかに「わかりやすく伝える」かということを研究して、実践することが大事だと思います。
短くまとめ、都民にわかりやすく
―提案にあたって苦労された点、工夫された点はありますか。
村上 教授:
都民投票のパワーポイント資料作成の際に、分かりやすく「短くまとめる」というのが工夫した点です。
タイトルに「ソフト」と書いたのは、箱もの、お金がかかるというイメージを持たれないように工夫しました。
また、投票される方もきっとスマホで見るでしょうし、余り細かく長々と書かないようにしました。
あとは、国や区市町村でもなく、地理的な東京でもなく、行政機関の「東京都」と一緒に事業を実施するので、東京都と共有するゴールをどこに置くか?ということもよく考えました。
―今後の事業展開に期待することはなにでしょうか。
村上 教授:
消費者行動の分析をした上で、きちんと消費者行動を変えていくという点です。最近この分野も盛り上がりがあるので、きちんと意味のあることに繋げていきたいと思っています。


ブレイクタイム☕
―皆さま、座右の銘、モットーなどあれば教えてください。
村上 教授:
環境に関する研究において、俯瞰的に物事を見ること。
よい意味で想いを強く持ちすぎず、中立的に物事を見ること。
これが、事業を背負っていない、研究者の役割であり、そういうスタンスはきちんと持っておくべきだと思っています。
―これまでの研究内容、事業への想いなど様々なお話をお聞かせいただきありがとうございました。
村上 教授の今後のご活躍をお祈りしています!
都では、今年度も「大学研究者による事業提案制度」を実施中です。
応募は5/30(金)まで受付中です。
詳細は以下のページをご覧ください。ご応募お待ちしています!
https://www.zaimu.metro.tokyo.lg.jp/zaisei/zaisei/teian