【井の頭自然文化園】恋のさえずり? ペアのカイツブリの鳴き声

東京ズーネット

 井の頭自然文化園の水生物館のすぐそば、井の頭池の畔を歩いていると、ときどき「ケレレレレレ」という甲高い音が聞こえてきます。これはカイツブリという水鳥の鳴き声で、おもになわばりを誇示したり、オスとメスの2羽で寄り添ってペアであることを確認したりするときの声です。

 水生物館の雌雄2羽のカイツブリも、よくこの「鳴き交わし」をおこないますが、2羽を離して飼育しているときには少しようすが違います。オスとメスが離れ離れのときだけの鳴き声があるのです。
 


鳴き交わしをするカイツブリのペア

 繁殖しないようにするなどの目的で雌雄を隔離する際、展示エリアに1羽、展示エリアと上半分がメッシュでできた扉で仕切られたサブエリアの水槽に1羽を収容します。このとき、互いに姿は見えないけれど声は聞こえるという状態です。

 よく鳴くのはオスで、「ケェーケェー」と呼びかけるような鳴き方を日に何度もし、そしてまれに「ヒョホー」というとても澄んだ声でも鳴きます。メスはオスほど頻繁には鳴きませんが、オスのいる方を向き、ときおりオスの鳴き声を気にするようなそぶりを見せます。そしてやはりまれに「ヒョロロロロ」という澄んだ鳴き方をします。

 このオスの「ヒョホー」、メスの「ヒョロロロ」という声を、私は野外ではまだ聞いたことがありません。状況から推測すると、単独のオスとメスが出会うときに役立ちそうですが、そのような機会は限られ、目撃しにくいのかもしれません。

 先日の3月中旬、2か月ほど離していた2羽を同居させると、さっそく鳴き交わしをしていました。展示のアクリルガラスは厚く、なかなかみなさまに鳴き声を聞いていただけないのが残念ですが、鳴くときには口が開いて体が振動しているので、慣れてくると「いま鳴いているな」とわかりますし、観覧側に漏れ聞こえるときもあります。

 まもなく売店でも販売される「どうぶつと動物園」の2025年春号は、このようなカイツブリのさまざまな行動と繁殖のようすを紹介していますので、ぜひそちらもお楽しみください。

メスから隔離されたカイツブリのオスの鳴き声:最初に「ケェーケェー」と鳴き、間をおいて9秒
ごろと19秒ごろに「ヒョホー」と鳴く(※水が流れる音が大きいので音量にご注意ください)


〔井の頭自然文化園水生物館飼育展示係 堀田〕

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