【井の頭自然文化園】今までとはちょっと違う!?「ヤマネコ祭2024~島にすむ生きものたち」を開催しました
井の頭自然文化園では例年10月に「ヤマネコ祭」を開催しており、今年も10月19日、20日に開催しました。昨年まではヤマネコの保全について伝えるイベントでしたが、今年は「島にすむ生きものたち」というテーマで、ヤマネコを軸にしながら、日本の島嶼部に生息する希少な生きものの保全について伝えることを目指しました。
生息地について伝える:ブース出展
メイン会場では、例年ヤマネコの生息地である対馬や西表島で活動する保全団体がブース出展し、活動紹介や物販をおこなっていました。今年は加えて小笠原諸島、奄美大島で活動する団体が出展したため、島の生きものについて幅広く学べる内容になりました。
現地で活動するブース出展者は、それぞれの島の生きものの魅力をよく知り、現地の最新の興味深い話題を豊富にもっています。そういった方々と来園者との交流をもっと生みたいと考え、今年は各ブースをめぐる「島のいきものスタンプラリー」を開催しました。絵柄の異なるスタンプを集めるために参加者はブースを気軽に訪れます。その際出展者とのあいだで会話が生まれており、現地の生の声を聴いた参加者からは「もっと知りたい!島に行ってみたい!」という声が多く聞こえてきました。
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また各団体も出展内容をくふうしていました。たとえば、自然環境研究センター(小笠原諸島ブース)では、カタツムリ探しゲームをおこなっていました。小笠原諸島では、落ち葉の下や、木の上など、生息環境に合わせ独自の進化をとげたカタツムリが100種類以上生息しています。それを模して、落葉や木の皮の間などに隠されたカタツムリシールを探すゲームがおこなわれました。小さな子どもから大人まで、楽しくカタツムリを探しながら「小笠原諸島にはたくさんの種類のカタツムリがいる!しかも、それぞれすんでいる場所が違う!」とうれしそうに話していました。

島の生きものに会える:動物ガイド
せっかく動物園で実施するので、飼育動物の観察を通して、さらに島の生きものたちの魅力を伝えていきたいと考えました。今年は島にすむ生きものをテーマに6種7回のガイドを実施し、島の特徴に合わせた独自の生態や、動物園での保全の取組みを伝えました。動物ガイドを通して現地の活動を紹介するブース出展に興味をもつ方、反対にブース出展を見て動物園の生きた動物を見たいと感じた方がいたので、動物園と現地の活動がうまくつながったと感じました。

もっと伝えたい島の魅力!
ほかにもヤマネコ祭ではさまざまなイベントをおこないました。今年から始めた「島トーク」では、対馬、小笠原諸島、奄美大島の出展者が、それぞれの島の魅力や、保全活動の現状をお伝えしました。3つの島のトークを聞くと、外来種問題や、希少動物の交通事故被害など、どの島にも共通する問題が見えてきました。その一方で、一言で島といっても、それぞれの島に長い年月をかけて独自の進化をとげた生きものたちの生態系があり、どれもかけがえのないものだと感じられました。

ヤマネコ祭が、多くの方が楽しみながら島の生きものの保全について考えるきっかけになるとうれしいです。今後も、動物園での保全活動はもちろん、動物園と生息地をつなぐ企画にも力を入れていきたいと思います。
〔井の頭自然文化園教育普及係 古坂〕