【多摩動物公園】ユーカリ食べ比べ

東京ズーネット
ユーカリはコアラのえさとご存じの方が多いと思いますが、多摩動物公園ではコアラのほかにオーストラリア園にいるフクロギツネ、シマオイワワラビー、アカカンガルーにも与えています。

 コアラは与えたユーカリの枝葉をすべて食べ切るわけではありません。残したユーカリをそのまま捨てるのはもったいないので、一部をオーストラリア園にいるほかの動物に与え再利用しています。

 コアラの残したユーカリをほかの動物たちに与え観察しているうちに、同じユーカリでも食べているようすや付いた食痕(動物がえさを食べた痕跡)から、動物ごとで食べ方の違いや好みがあることに気づきました。

フクロギツネ


 木登りが得意で、木の茂みやうろを隠れ家としている動物です。野生ではユーカリ類の葉や花のほかに、鳥の卵やひな、昆虫なども食べます。

 回収したユーカリについた食痕を見てみると、樹皮や葉がギザギザしています。フクロギツネはユーカリを与えるとまず、匂いを嗅ぎ確認します。その後、前足で枝を掴み細かくかじっていくような食べ方をするため、このような食痕が残ります。
 

ユーカリに付いた食痕
 

シマオイワワラビー


 ごく限られた地域の山地のがけや岩場に生息し、すばやい動きで、岩から岩へ巧みに飛び移ることができる動物です。野生では草や木の葉、落ち葉や種子などを食べています。

 ユーカリを与えると匂いを嗅いだあと、樹皮に噛みつき剥がしながら食べていきます。葉よりも樹皮の方が好みのようで、食痕を見ると樹皮は綺麗に剥がされているのに対し、葉はほとんど手を付けずきれいなままです。
 

ユーカリに付いた食痕
 

アカカンガルー


 日中は木陰で休んでいることが多く、早朝や夕方から夜間にかけ活発に活動し、開けた草原を移動しながらくらしている動物です。野生での主食は草で、木の芽や葉なども食べます。

 アカカンガルーもユーカリを与えたあと、ほかと同じように匂いを嗅ぎます。その後は葉を枝から千切って食べていたり、樹皮にかじりついたりとさまざまです。回収したユーカリには葉が残っておらず、樹皮がところどころ剥がされていました。
 

ユーカリに付いた食痕

 今回のように同じユーカリでも動物によって食べ方や好みに違いがあることがわかりました。日頃から動物ごとの特性や好みを知っておくことは、彼らの日々の健康管理に大きく役立ちます。

 日常の気づきを動物たちの日々の「生活の質」向上に活かしながら、これからも励んでいきます。

〔多摩動物公園南園飼育展示第2係 白尾〕

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コアラにユーカリを食べてもらいたい!(2021年10月01日)
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