【多摩動物公園】これからのキリンの繁殖

東京ズーネット
多摩動物公園のキリン舎では、2023年11月に沖縄からメスの「光」(ひかり)を迎え入れ、2023年12月20日に誕生したメスの「アキ」も加わって現在19頭の群れになりました。光は、新キリン舎での搬入個体第1号です。隔離部屋で検疫と群れとのお見合いをすませ、搬入13日後に無事に群れの一員となりました。
 

光の搬入時のようす

 アキの誕生は、当園の繁殖の累計199頭目です。母親の「アミ」は新キリン舎での出産は初めてでしたが、5回目の出産ということもあり、安定した育児ぶりで何の心配もありませんでした。

 出産当日は休園日で、担当者全員が出勤していました。午前10時すぎに産気づき、全員が見守るなかでの出産でした。私たち飼育係が帰宅した夜から明け方にかけて出産することもよくあるため、毎回出産に立ち合えるわけではありませんが、今回のように日中に産気づき出産が始まるときには、子どもが生まれて起立し授乳を確認するまで立ち会うようにしています。
 
アミの出産のようす。アキの頭が出ています 生まれ落ちた瞬間
アミの出産のようす。アキの頭が出ています
生まれ落ちた瞬間

 次はいよいよ200頭目の出産となりますが、みなさまへのお知らせは、しばらく先になってしまうかもしれません。

 日本全国のキリンを飼育している園では、個体群管理計画にもとづき、遺伝的多様性を保ち、健全なキリンの群れ・個体数を維持するため、それぞれの園が協力し合いキリンの繁殖や移動を実施しています。近年、キリンのえさや環境など、飼育管理の方法が確立され、適正な飼育管理で長生きする個体が増えるようになりました。また、各園での繁殖も数多くみられようになり出産や親子の管理方法などの技術も向上しました。

 長年のあいだ、多摩動物公園は日本国内におけるキリンの繁殖基地として、生まれた子どもを全国の動物園やサファリパークへ搬出してきましたが、その多くのキリンたちも、おとなになり子どもを増やしていったのです。その結果、全国で飼育頭数は増加し、キリンを飼育する面積にもとづく収容可能な頭数の上限を超えるようになったため、動物福祉の観点からも、繁殖制限が必要となりました。
 
群れの部屋。奥の部屋にジル、真ん中の部屋にアキがいます ジルの部屋。群れのなかまが顔を覗かせています
群れの部屋
奥の部屋にジル、真ん中の部屋にアキがいます
ジルの部屋
群れのなかまが顔を覗かせています

 当園のオスの「ジル」も、新居に引っ越し後の2022年11月から繁殖制限のために繁殖適齢期のメスがいる群れとは離して隔離をしています。またいつの日か200頭目誕生のうれしいお知らせができるよう、多摩動物公園のキリンの群れの安定を継続的に図っていきます。
 

柵越しにいっしょにすごすジル。繁殖制限のために繁殖適齢期のメスがいる群れとは離しています

〔多摩動物公園北園飼育展示係 齊藤〕

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