【葛西臨海水族園】特技は穴掘り! ダーウィンジョーフィッシュ

東京ズーネット

 葛西臨海水族園の「世界の海」エリア「オーストラリア北西部」水槽で、ダーウィンジョーフィッシュを展示しています。

 ダーウィンジョーフィッシュは、オスが卵のかたまりを口にくわえて守るという変わった習性を持つアゴアマダイ科のなかまです。ジョーとは、英語で口や顎を意味する「Jaw」のことで、その名の通り大きな口が特徴です。以前に「バハカリフォルニア」水槽で展示していたファインスポッテッドジョーフィッシュも同じアゴアマダイ科のなかまで、卵のかたまりを口にくわえて保護するようすが見られていました。

 ダーウィンジョーフィッシュは、砂に穴を掘り、サンゴ礫や貝がらを積み上げて巣穴を作ります。ふだんは巣穴に隠れていることが多く、一見どこにいるかわかりにくいですが、壁沿いや岩組の下などをよく見ると、顔を出してきょろきょろと大きな眼でまわりのようすをうかがっている姿が見られます。
 


巣穴から顔を出すダーウィンジョーフィッシュ


 先日、新しく5尾をなかま入りさせたときには、以前水槽にいた個体が作って「空き家」になっていた巣穴を利用したものもいましたが、2尾はすぐに隠れることができず、底砂のくぼみでようすをうかがう姿が見られました。巣穴をめぐってケンカが始まらないか心配でしばらくようすを見ていたところ、巣穴に入れなかった1尾が、大きな口に砂をくわえて少し離れた場所に吐き出し、せっせと巣穴を掘りはじめました。そして、サンゴ礫や貝がらをひとつずつ口にくわえて巣穴へ運び入れ、頑丈になるよう積み上げていきました。

 その後も砂をくわえては吐き出し、さらに深くなるよう掘り進めていきました。しばらくすると、今度は積み上げたサンゴ礫や貝がらを砂で覆うなど、健気に巣穴を作っているようすが見られました。翌日には全身が隠れるほどの深い巣穴ができており、現在ではすべてのダーウィンジョーフィッシュが巣穴に隠れるようになりました。

 精巧に作られた巣穴から周囲をうかがうダーウィンジョーフィッシュたちをぜひ見に来てください。今後、口の中で卵を守るようすが観察できるよう、大切に飼育を続けていきます。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 松本あかり〕

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