身体と精神に訴える新感覚アート、東京屈指の美術館で体験

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「Floating Flower Garden: 花と我と同根、庭と我と一体」と題された作品では、来館者は花々の中に埋もれて花と一体化する
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 東京湾沿いの豊洲エリアにある美術館「チームラボプラネッツ TOKYO」は、2018年に開館して以来、大きな反響を呼んできた。2023年度には年間来場者が250万人を突破し、単一アート・グループとしては世界で最も来館者の多い美術館としてギネス世界記録に認定された。

インタラクティブで没入感のある世界を創造

 同館は、東京生まれのアートコレクティブ「チームラボ」が手掛ける施設だ。2001年設立のチームラボはこのほか、東京の麻布台ヒルズにある「チームラボボーダレス」など、さまざまな規模の常設・長期展示を国内外で展開。国内では福岡、茨城、京都、大分、沖縄、大阪、佐賀、海外ではアブダビ、ハンブルク、ジェッダ、マカオ、ニューヨーク、シンガポールに作品を設置している。加えて、国内外で頻繁に巡回展も行っている。

 チームラボは、既存の境界を超えるというビジョンに基づき、「超越」と「つながり」をテーマに、デジタル技術を活用して世界を新しい形で捉える作品を生み出している。

 さらに、もう一つの重要なテーマである「身体の動き」にデジタル技術を同期させることによって、人と人、そして人とテクノロジーの間にある境界線を曖昧にしている。チームラボプラネッツ TOKYOでは、光と音を巧みに取り入れた展示により、時空に関する人の固定概念を覆す広大なデジタルアート空間が広がっている。

さまざまな感覚を刺激する各エリア

 チームラボプラネッツ TOKYOは、主にForest、Garden、Water、Open-Airと、四つのエリアに分かれており、それぞれで異なる体験ができる。

 「Forest」は、ダイナミックでテンポ感のある空間で、身体を使って楽しめる作品が集められている。例えば、「つかまえて集める森」は、広い空間に描かれた色鮮やかな木々の間を移動しながら、専用のモバイルアプリを使ってさまざまな絶滅した動物を集めて観察する作品だ。観察した動物について学んだら、その動物を作品空間にリリースすることで、また新たな動物を観察できるようになる。

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「運動の森」には、「あおむしハウスの高速回転跳ね球」など、大人も子どもも楽しめる色鮮やかな作品が集められている

 隣接する「運動の森」には、来館者が周囲の空間と物理的に関わることを促す作品が集められている。そのうちの一つ、「グラフィティネイチャー」では、来館者は凹凸のある立体的な空間を探索しながら、色鮮やかな生き物たちが床や壁の至るところに息づく空間を体験する。自分が描いた生き物が作品内で生命活動をしている様を、大人も子どもも追いかけながら夢中になれる。

 一方、「マルチジャンピング宇宙」は、子どもと20歳以下の若者限定の作品だ。床に投影された星の上を飛び跳ねることで、星のさまざまな成長段階を身体で感じることができる。

 裸足で体験する「Water」も、光と音の感覚がユニークに交差する場所だ。「The Infinite Crystal Universe」では、まばゆい光の中に立つことで、自分が壮大な宇宙の中の単なる点にすぎないように感じられる。この作品もまた、人と周囲の環境とのインタラクション要素が取り入れられており、来館者がスマートフォン上で選んだ星を周りの星々の中に投げ込むことで、永遠に変化する作品空間が構築される。

 その次にあるのが、「人と共に踊る鯉によって描かれる水面のドローイング」という作品だ。来館者は水が張られた空間に入り(水は膝下までの深さがあるため、長ズボンの裾をまくる必要がある)、水面を泳ぐ鯉に囲まれながら、水の中を進む。鯉の動きはさまざまで、ゆっくり泳いでいるものもいれば、素早く進んだり、旋回していたりするものもいる。鯉は誰かに触れられた瞬間、花に変わり、開花した後に散っていく。チームラボはこのように、その場にいる人々の動きを取り入れたユニークなアートの数々を生み出している。

 この作品を体験した後には、タオルも提供される。日本の「おもてなし」の典型的な例だ。

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まばゆい光に満ちた「The Infinite Crystal Universe」は、地球を取り巻く壮大な宇宙をシミュレートした魅惑的な体験ができる

 「Floating in the Falling Universe of Flowers」は、数ある展示の中でも、特に感覚へ強く訴える作品の一つで、床に横たわって鑑賞することが推奨されている。幻想的な音楽が流れる中、頭上に広がる宇宙空間に大小さまざまな花が漂う様子を眺めていると、自分が広大な宇宙の中の小さな点になったような心地よい感覚に襲われる。

 「Water」にある別の作品「やわらかいブラックホール - あなたの身体は空間であり、空間は他者の身体である」では、穏やかな音楽が流れる中、柔らかい布の床の上を歩くことで、没入感があり心静まる体験ができる。その他、さまざまな色に移り変わる巨大な光の球体を使った作品もある。凍り付くような白、ターコイズブルー、やわらかな紫、鮮やかな朱色、そしてその合間にある曖昧な色調に変化する球体で埋め尽くされた空間を歩くことで、来館者は色彩の海の中に身を沈めることができる。この作品には、異なる色の絹を重ねることで四季折々の色を表現する「かさねのいろめ」という平安時代の伝統配色が取り入れられている。光が移り変わるパターンは一見すると不規則だが、実際には周囲の人の動きと同期している。人々が球体に触れることで色調が変化し、それが周囲の他の球体にも波及する。

 「Garden」では、魅惑的な空間が広がる「Floating Flower Garden: 花と我と同根、庭と我と一体」という作品がある。空間は本物のランで埋め尽くされているが、人々が近づくと花がせり上がり、その場所を通れるようになる。隣接して屋外に設置された「呼応する小宇宙の苔庭」では、巨大な豆のような形をした無数のOvoid(卵形体)が地面に置かれており、手で押して揺らすと色が変わり、音が鳴る。Ovoidは日没後には光り輝くため、昼と夜で全く異なる体験ができる。

ヴィーガンラーメン、持ち帰れるアートも

 同館は、敷地全体がチームラボの幻想的な世界を創造するためのキャンバスになっている。各エリアのみならず、それらの間を移動する際も、来館者の感覚を刺激する仕掛けが施されている。エリア間をつなぐ曲がりくねった通路には、アロマセラピーのような香りや、渦巻く床の映像、ムード照明、そして幻想的な音楽など、さまざまな演出がなされている。

 屋外の「Open-Air」にも、数々の作品が展示されている。その一つが、施設の入り口前にそびえたつ炎の塔だ。塔に灯るデジタルの炎は、専用のアプリを持って近づくことでスマホに点火することができ、それを他の人のスマホに分けてあげたり、記念品として持ち帰ったりできる。このようにして広がった炎は、世界共通の「炎地図」にも表示される。

 屋外エリアにあるレストランでは、京都発の「Vegan Ramen UZU」のラーメンを味わえる。味噌と燕麦ミルク、シイタケなどをベースとした濃厚なスープと自家製麺に、ローストした季節の野菜や柚子(期間限定)がトッピングされた逸品だ。注文したラーメンは、屋外の作品空間「Emptiness Table - 虛空󠄁堂」で食べることもできる。

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館内のレストラン「Vegan Ramen UZU Tokyo」で提供される「味噌ラーメン Vegan UZU style」は、チームラボプラネッツ TOKYO限定メニューだ

必見のアート体験

 チームラボプラネッツ TOKYOを訪れる人の7割は、海外からの訪問者だ。東京にはショッピングやグルメ、賑わいのあるベイサイドエリアなど、外国人旅行者が体験すべき魅力がたくさんある。都内に数ある優れた美術館の中でも、壮大なスケールで境界を超越するチームラボプラネッツ TOKYOの作品は、東京を訪れる旅行者にとって必見のアート体験をもたらしてくれる。

 同館の広報担当者は「ここにある作品は、人種、年齢、世代を問わず、誰もが楽しめる唯一無二のアートです」と語る。「私たちは来館者に至高の体験をしてもらえるよう、最善を尽くしています。皆さんに素晴らしい時間を過ごしてもらうべく、今後ともアート作品のキュレーションと館内の環境づくりに励んでいきます」

Movie:東京都

チームラボプラネッツ TOKYO DMM.com

https://www.teamlab.art/jp/e/planets/

 

 

取材・文/キンバリー・ヒューズ
写真/藤島亮
翻訳/遠藤宗生
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